ビザ、複数ブロックチェーンで決済網強化──4種類のステーブルコイン対応へ

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決済大手Visa(ビザ)が、安定した価値を持つ暗号資産「ステーブルコイン」を使った清算(Settlement)インフラをさらに拡大します。対応通貨は米ドル連動のUSDC・PYUSD・USDGに加え、ユーロ連動のEURC。そしてブロックチェーンは従来のイーサリアム(Ethereum)とソラナ(Solana)に、ステラ(Stellar)とアバランチ(Avalanche)が新たに加わります。この記事では、ニュースの要点、一般ユーザーや店舗にとってのメリット・注意点、今後の活用シナリオまで、初心者にもわかりやすく解説します。

  1. ニュースの概要
  2. なぜ注目?──ビザ×ステーブルコインの意味
    1. 1. 国際決済の「遅い・高い」を改善
    2. 2. マルチチェーンへの現実的な対応
    3. 3. 通貨多様化(USDに加えEUR連動)
  3. 対応する4種類のステーブルコイン
  4. 対応ブロックチェーン(4チェーン)
  5. 誰にどんなメリット?
    1. 個人ユーザー
    2. ネットショップ・リアル店舗
    3. 企業の財務・経理
  6. しくみの超入門(清算と決済の違い)
    1. 清算(Settlement)とは?
    2. ユーザー体験は変わる?
  7. よくある誤解とリスク
    1. 「ステーブルコイン=価格が絶対に変動しない」ではない
    2. チェーンごとの手数料・混雑
    3. 規制変更リスク
  8. 実装イメージ(店舗・事業者の視点)
    1. ① アクワイアラ(決済代行)経由でオンチェーン清算を有効化
    2. ② 資金繰りの平準化(Visa Direct×プリファンディング)
    3. ③ 会計・税務フローの整備
  9. ユーザー(個人)が今日からできること
  10. 注意点(初心者の安全ガイド)
    1. シードフレーズと秘密鍵の管理
    2. 送金先のネットワーク選択ミスに注意
    3. なりすましサイト
    4. 今後の展望
    5. 2. マルチチェーン・ルーティング
    6. 3. 規制整備とカバナンス
  11. Q&A(初心者の疑問にサクッと回答)
    1. Q1. ビザカードで暗号資産が直接使えるようになるの?
    2. Q2. USDCとPYUSDの違いは?どちらを使えばいい?
    3. Q3. どのチェーンが一番お得?
  12. まとめ:ビザが拓く「実用Web3」への最短ルート
  13. 参考リンク(公式&主要メディア)

ニュースの概要

2025年7月31日、ビザは自社の清算プラットフォームにおいて、対応ステーブルコインを拡大し、対応ブロックチェーンも複数追加することを発表しました。これにより、発行会社(イシュア)や加盟店側の決済代行会社(アクワイアラ)は、複数チェーン上のステーブルコインでビザと清算でき、資金移動の柔軟性とスピードが向上します。あわせて、同年9月にはビザ・ダイレクト(Visa Direct)を通じたステーブルコインのプリファンディング実証も案内され、企業の資金繰り改善に活用される見込みです。
参考:公式発表と主要メディアの要点は本記事末尾の「参考リンク」を参照してください。

なぜ注目?──ビザ×ステーブルコインの意味

1. 国際決済の「遅い・高い」を改善

ステーブルコインは法定通貨に連動するため価格変動が比較的小さく、ブロックチェーンを使うことで24時間365日、即時かつ比較的低コストの資金移動が可能です。カードネットワーク大手のビザが正式に清算対応を広げることで、既存の商流にWeb3の速さが取り込まれ、越境送金やマーチャント支払いがより機動的になります。

2. マルチチェーンへの現実的な対応

「このチェーンだけ」という縛りは、実務では足かせです。ビザはEthereum、Solana、Stellar、Avalancheという特性の異なるチェーンを並行採用。用途やコスト、パフォーマンスに応じて最適経路を選べるようになります。

3. 通貨多様化(USDに加えEUR連動)

米ドル連動に加えてユーロ連動(EURC)を清算で取り込むことで、欧州圏ビジネスやユーロ立ての精算にも親和性が高まります。

対応する4種類のステーブルコイン

  • USDC(USD Coin):米Circle社が発行。すでに多くの取引所・ウォレット・決済で採用実績。
  • PYUSD(PayPal USD):Paxos発行、PayPal連携で消費者接点が強いのが特徴。
  • USDG(Global Dollar):Paxos系の新しいUSD連動トークン。企業間決済や清算用途を志向。
  • EURC(Euro Coin):Circle社のユーロ連動版。ユーロ経済圏の清算ニーズに対応。

いずれも法定通貨準備や規制準拠を前提とする仕組みで信認を確保。ビザの清算に乗ることで、会計・監査・規制対応面の安心感が増し、企業での採用が進みやすくなります。

対応ブロックチェーン(4チェーン)

  1. Ethereum:最も実績あるスマートコントラクト基盤。広いエコシステムが強み。
  2. Solana:高速・低手数料が魅力。小口・高頻度決済に好相性。
  3. Stellar:送金特化で金融機関連携に歴史。国際送金との親和性が高い。
  4. Avalanche:高スループットかつカスタマイズ性。企業ユースの拡張性に期待。

誰にどんなメリット?

個人ユーザー

  • 海外送金のスピードアップ:夜間・休日でも即時性が高い。
  • 手数料の見える化:ネットワーク手数料が比較的明確。
  • ウォレット間の移動が簡便:個人の自己管理資産としても扱いやすい。

ネットショップ・リアル店舗

  • 売上入金の高速化:日次サイクルの資金繰り改善。
  • 多通貨対応の簡素化:ドル建て・ユーロ建ての疑似即時清算が可能に。
  • チャージバック・為替リスク最適化:オンチェーン清算との併用によるリスク分散。

企業の財務・経理

  • グローバル資金プーリング:拠点間の立替・前受をスピーディに。
  • T+0/T+1の運転資金最適化Visa Directのプリファンディングと併用で可動性アップ。
  • 監査トレーサビリティ:オンチェーン台帳で資金流れを把握しやすい。

しくみの超入門(清算と決済の違い)

清算(Settlement)とは?

カード決済では、ユーザーが「支払う」瞬間と、加盟店にお金が「実際に届く」瞬間がずれます。この裏側の資金精算が清算です。ビザがステーブルコイン清算に対応するというのは、イシュア・アクワイアラとの資金の最終受け渡しを、指定のステーブルコイン&チェーンでできるようにする、ということです。

ユーザー体験は変わる?

多くの場合、ユーザーの見た目は従来のカード決済と同じでも、裏側の資金移動がステーブルコインになることで、コスト・スピード・オペレーションが最適化されます。結果として、手数料の低下や入金早期化が価格や還元に反映される可能性があります。

よくある誤解とリスク

「ステーブルコイン=価格が絶対に変動しない」ではない

理論上は法定通貨に連動しますが、発行体の管理不備や流動性低下で乖離することも。ビザは規制順守・準備資産の信認が担保された銘柄を選定していますが、リスクはゼロではない点は理解しておきましょう。

チェーンごとの手数料・混雑

混雑時には手数料が上振れします。複数チェーン対応は、負荷分散コスト最適化の選択肢を増やす取り組みです。

規制変更リスク

各国のステーブルコイン規制は進化の途上。ガイドラインが変われば、対応銘柄や運用ポリシーが見直されることがあります。

実装イメージ(店舗・事業者の視点)

① アクワイアラ(決済代行)経由でオンチェーン清算を有効化

WorldpayやNuvei等のビザ対応アクワイアラを通じて、USDC/PYUSD/USDG/EURCでの清算を選択。売上の受け取りをEthereum / Solana / Stellar / Avalancheから運用ポリシーに合わせて選びます。

② 資金繰りの平準化(Visa Direct×プリファンディング)

売上入金のタイムラグを縮めるため、ステーブルコインで前もって資金をプール。急な仕入れや給与前倒しにも対応しやすくなります。

③ 会計・税務フローの整備

オンチェーン台帳のエクスポートと法定通貨建ての評価換算をルール化。監査対応まで見据えて内部統制を整えます。

ユーザー(個人)が今日からできること

  • 対応ウォレットの準備:安全な保管と自己管理の基本を身に付ける。
  • 少額で体験:マルチチェーンで送ってみて速度と手数料を比較。
  • 両替・着金のテスト:取引所やオンランプで入出金の所要時間を把握。

注意点(初心者の安全ガイド)

シードフレーズと秘密鍵の管理

ウォレットの復元フレーズは紙や金属でオフライン保管。クラウドやスクショは厳禁です。

送金先のネットワーク選択ミスに注意

同じUSDCでも、EthereumとSolanaで別資産です。必ずチェーンを一致させてください。

なりすましサイト

PayPalやCircleを装うフィッシングに注意。URLと証明書を毎回チェック。

今後の展望

サプライチェーン決済・貿易金融の分散型自動化(スマコン)が進み、支払条件に応じたT+0/T+1清算が一般化する可能性があります。

2. マルチチェーン・ルーティング

トラフィック状況に応じて最適チェーンを自動選択するルーティングの商用実装が加速。

3. 規制整備とカバナンス

国・地域ごとのステーブルコイン規制が整うほど、伝統金融との接続が進み、消費者保護イノベーションの両立が図られます。

Q&A(初心者の疑問にサクッと回答)

Q1. ビザカードで暗号資産が直接使えるようになるの?

「清算」対応は裏側の資金受け渡しの話。ユーザー体験は従来のカードと同じ場合が多いですが、入金の速さやコストには良い影響が期待できます。

Q2. USDCとPYUSDの違いは?どちらを使えばいい?

どちらもUSD連動ですが、発行体・連携サービスが異なります。利用シーン(PayPal連携を重視するか等)や手数料・対応チェーンで選びましょう。

Q3. どのチェーンが一番お得?

混雑状況で変動します。SolanaやStellarは低コストEthereumは互換性が広いAvalancheは拡張性が強み。用途で使い分けが基本です。

まとめ:ビザが拓く「実用Web3」への最短ルート

ビザの清算プラットフォームが4通貨×4チェーンへ広がることで、既存の商流にオンチェーン決済の俊敏性が浸透します。まずは小さく試し、運用ルールを整えながら、越境・多通貨・高速化というWeb3の強みをあなたの事業や暮らしに取り入れていきましょう。

参考リンク(公式&主要メディア)

  • Visa公式リリース「Visa Expands Stablecoin Settlement Support」(2025年7月31日)
  • Visa公式リリース「Visa Direct Taps Stablecoins to Unlock Faster Funding for Businesses」(2025年9月30日)
  • CoinDesk:Visa、StellarとAvalancheに対応。清算対応ステーブルコインは4種
  • PYMNTS:Visa、対応ステーブルコイン・ブロックチェーンを拡大

(注)本記事は公開情報をもとに作成しています。実装や対応範囲は地域・パートナーにより異なるため、最新情報は必ず公式発表および利用先の規約をご確認ください。

出典:Visa公式の拡張発表(2025/7/31)と各種報道。PYUSD・USDG・EURC、ブロックチェーンにStellar・Avalancheを加えた旨が明示されています。ビザ・ダイレクトでのプリファンディング実証(2025/9/30)

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