インターネットの歴史の中で「WEB2.0」という言葉は大きな転換期を示しています。WEB1.0の時代は「一方通行の情報発信」が主流でしたが、WEB2.0ではユーザーが「双方向で情報を発信・共有できる」ようになりました。この記事では、WEB2.0の特徴、代表的なサービス、そして社会への影響を初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
WEB2.0とは?その基本的な意味
WEB1.0との違い
WEB2.0の前の時代である「WEB1.0」は、主に1990年代後半から2000年代初頭にかけて普及しました。この時代のインターネットは「閲覧するだけ」が基本で、企業や個人が一方的に情報を発信し、ユーザーはそれを見るだけという構造でした。
たとえばニュースサイトや企業のホームページが典型的な例です。情報の流れが一方向であり、コメント機能やSNSのような「ユーザーの参加」はほとんどありませんでした。
それに対して「WEB2.0」は、ユーザーがコンテンツを作り、共有し、他の人とつながることができる時代を指します。つまり、インターネットが「参加型」に進化したのです。
WEB2.0という言葉の登場
「WEB2.0」という言葉は、2004年ごろにアメリカのティム・オライリー(Tim O’Reilly)が提唱した概念です。彼は、インターネットが新しい段階に進化しつつあることを指摘し、「利用者の力を活用するWeb」という考え方を示しました。
この時期から、ブログやSNS、動画共有サイトなどが急速に普及し、人々のオンラインでの活動が一変しました。
WEB2.0の代表的な特徴
① ユーザー参加型のコンテンツ
WEB2.0の最大の特徴は「ユーザーが主役」になったことです。
ブログ、SNS、YouTube、Wikipediaなど、ユーザー自身が情報を作成・発信することができるようになりました。
これにより、誰もが簡単に意見を発信できるようになり、情報の多様化が進みました。
② ソーシャルネットワークの登場
WEB2.0時代の象徴的な存在がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)です。
Facebook、Twitter(現X)、Instagram、mixi(日本)などが登場し、人と人がオンライン上でつながる文化が広まりました。
SNSの普及によって、個人がニュースを拡散したり、共通の趣味でつながったりすることが当たり前になりました。
③ クラウドサービスの普及
WEB2.0では、データを自分のパソコンに保存するのではなく、インターネット上(クラウド)に保存する仕組みが普及しました。
Googleドライブ、Dropbox、Gmailなどが代表的な例です。
これにより、どこからでもアクセスできる便利さが生まれ、オンライン上での共同作業も可能になりました。
④ アルゴリズムによる情報最適化
WEB2.0の時代には、ユーザーの行動データをもとにコンテンツを最適化するアルゴリズムが発達しました。
YouTubeのおすすめ動画やAmazonの「あなたへのおすすめ」などはその典型です。
これにより、ユーザー体験が向上する一方で、「フィルターバブル(情報の偏り)」という問題も生まれました。
WEB2.0を代表するサービスと文化
ブログ文化の誕生
ブログは、誰もが自分の考えや日常を発信できる画期的なツールでした。
Amebaブログやlivedoorブログ、はてなブログなどが普及し、一般人でも情報発信者になれる時代が到来しました。
特に「個人の影響力(インフルエンサー)」という概念が生まれたのも、この時代です。
動画共有サイトの登場
2005年に誕生したYouTubeは、まさにWEB2.0の象徴です。
テレビのような一方的なメディアとは異なり、誰でも動画を投稿・共有できる仕組みを作り出しました。
これにより、一般人が有名になる「YouTuber」という新しい職業も生まれました。
Wikipediaによる集合知
Wikipediaは、世界中の人々が協力して記事を作り上げる「集合知(Collective Intelligence)」の代表例です。
専門家だけでなく一般のユーザーも知識を共有する仕組みが確立され、知識の民主化が進みました。
WEB2.0がもたらした社会の変化
情報発信の民主化
WEB2.0によって、メディアや企業だけでなく、誰でも情報を発信できるようになりました。
TwitterやYouTubeでの発信がきっかけで社会的な議論が起こることも増え、世論形成の方法が変わりました。
マーケティングの変化
従来の広告はテレビや新聞が中心でしたが、WEB2.0ではSNSやブログを活用した「口コミマーケティング」や「インフルエンサー戦略」が主流になりました。
企業はユーザーとのコミュニケーションを重視するようになり、ファンを作る戦略が求められるようになりました。
働き方の変化
クラウドツールやSNSの発展により、リモートワークやフリーランスといった新しい働き方が広がりました。
WEB2.0の仕組みを活用することで、企業に属さなくても収入を得る人が増えたのです。
WEB2.0の課題と限界
個人情報とプライバシーの問題
SNSの普及によって、個人情報の流出や炎上といった問題も増えました。
また、個人データを利用した広告ターゲティングが倫理的な議論を呼び起こしました。
情報の偏りとフェイクニュース
アルゴリズムが「自分に合う情報だけ」を見せるため、偏った意見に触れやすくなりました。
また、フェイクニュースの拡散も大きな社会問題となっています。
WEB3.0への橋渡しとしてのWEB2.0
WEB2.0は、次世代の「WEB3.0(分散型インターネット)」へと進化するための基礎を築いた時代でもあります。
WEB3.0では、ブロックチェーン技術を活用し「個人がデータの所有者となる」世界が目指されています。
つまり、WEB2.0は「共有の時代」、WEB3.0は「所有の時代」と言えるでしょう。
内部リンク例:
➡ WEB3.0とNFTの関係をわかりやすく解説
➡ WEB3.0とメタバースのつながりとは?
まとめ:WEB2.0は「参加の時代」だった
WEB2.0の時代は、誰もが情報を発信し、つながり、社会に影響を与えることができるようになった革命的な時代でした。
ブログ、SNS、動画、クラウドなど、今日のデジタル社会の基盤はすべてWEB2.0から生まれたものです。
今後のWEB3.0時代を理解するためにも、まずこのWEB2.0の流れをしっかり理解しておくことが大切です。
コメント